ユニバーサルデザイン包装とは、年齢や身体的な特性にかかわらず、できるだけ多くの人が利用しやすい状態を目指した包装設計の考え方です。商品を保護するだけでなく、開けやすさや持ちやすさ、情報の分かりやすさにも配慮する点が特徴です。
商品を選ぶ際には中身や価格、デザインが注目されがちですが、実際に使う場面では包装の使いやすさも重要になります。特に高齢者や子ども、手先の力が弱い方にとっては、包装が使いにくいだけで日常的な負担につながる可能性があります。
一方で、使いやすさだけを追求すれば良いわけではありません。内容物を守る保護性能や安全性とのバランスも必要です。本記事では、ユニバーサルデザイン包装の基本的な考え方から、設計時に重視される要素、利用者視点で考えるポイントまでを解説します。
ユニバーサルデザイン包装とは何か
包装には商品を保護する役割があります。しかし利用者の立場で考えると、使いやすさも重要な価値の一つです。近年は商品の機能だけでなく利用体験にも注目が集まっており、包装設計においてもユニバーサルデザインの考え方が取り入れられる場面があります。
ユニバーサルデザインの考え方
ユニバーサルデザインとは、できるだけ多くの人が利用しやすい設計を目指す考え方です。包装分野では、年齢や身体的な特性にかかわらず扱いやすい状態を目指す設計として考えられています。例えば開封位置を分かりやすくしたり、持ちやすい形状を採用したりする工夫があります。
ただし、全ての利用者に完全に対応できる設計を実現することは容易ではありません。そのため実際には、できるだけ多くの利用者が使いやすくなる方向で検討が進められます。利用者の負担を減らしながら、商品本来の機能を損なわないことも重要な視点です。
なぜ包装で重要視されるのか
包装は商品と利用者をつなぐ最初の接点です。どれほど品質の高い商品であっても、開封しにくかったり情報が読みにくかったりすると、使いにくさを感じる可能性があります。
ここでよくある誤解があります。それは「ユニバーサルデザイン包装は高齢者向けの商品にだけ必要である」という考え方です。しかし実際には、高齢者だけでなく子どもや外国人、視覚や身体機能に特徴のある方など、多様な利用者を想定する考え方です。その結果として、多くの人が使いやすくなることを目指しています。
開封しやすい包装との違い
ユニバーサルデザイン包装と開封しやすい包装は混同されることがあります。確かに開封性は重要な要素ですが、ユニバーサルデザイン包装はそれだけではありません。
例えば開封しやすくても、表示が読みにくかったり持ち運びにくかったりすれば、利用者にとって使いやすい包装とはいえません。ユニバーサルデザイン包装では、開封性、視認性、持ちやすさ、情報伝達など複数の要素を総合的に考えます。関連テーマとして、「開封しやすい包装とは?使いやすさを左右する設計の考え方」も参考になるでしょう。
ユニバーサルデザイン包装に求められる要素
ユニバーサルデザイン包装は、一つの機能だけで成立するものではありません。利用者が商品を手に取り、開封し、使用し、保管するまでの流れ全体を考慮する必要があります。
開けやすさへの配慮
包装の使いやすさを考える上で、開封性は重要な要素です。開封位置が見つけにくかったり、強い力が必要だったりすると、利用者の負担になる場合があります。開封性を確認する場合は、次の流れが参考になります。
①開封位置が見つけやすいか
②少ない力で開封できるか
③内容物を傷付けにくいか
開封時の負担を減らすことで、商品全体の使いやすさ向上につながる可能性があります。
情報の伝わりやすさ
包装は商品の情報を伝える役割も担っています。商品名や使用方法、注意事項などが読みやすく表示されていることは重要です。文字サイズが小さ過ぎたり、背景色との区別が付きにくかったりすると、情報が正しく伝わらない可能性があります。
ここで二つ目の誤解があります。それは「デザイン性を高めると情報の見やすさは犠牲になる」という考え方です。しかし実際には、視認性とデザイン性の両立を目指した設計も存在します。重要なのは見た目だけでなく、利用者が情報を理解しやすいかどうかです。
包装デザインについては、「包装デザイン基本とは?失敗しない設計判断と商品印象を左右する理由」も参考になります。
持ちやすさと取り扱いやすさ
商品は開封するだけではありません。持ち運んだり保管したりする場面もあります。そのため、持ちやすさや取り扱いやすさも重要な要素になります。
例えば滑りやすい容器や持ちにくい形状では、落下や破損のリスクが高まる可能性があります。また、内容量が多い商品では重さへの配慮も必要です。ユニバーサルデザイン包装では、利用者が無理なく扱えることも重視されています。
包装設計でユニバーサルデザインを考えるポイント
ユニバーサルデザイン包装は、特定の機能を追加すれば完成するものではありません。利用者の行動や利用環境を考慮しながら、設計全体の中で検討することが重要です。
利用者を具体的に想定する
設計を行う際は、まず誰が使う商品なのかを整理する必要があります。高齢者向けの商品と子ども向けの商品では、求められる配慮が異なる場合があります。設計時に確認する場合は、
①誰が利用するのか
②どの場面で使用するのか
③どの工程で負担が発生するのか
という順番で整理すると考えやすくなります。利用者像を具体化することで、必要な配慮も見えやすくなるでしょう。
保護性能とのバランス
包装には内容物を守る役割があります。そのため、使いやすさだけを優先することはできません。例えば食品包装では密封性が求められることがあります。また、輸送を伴う商品では耐久性も重要です。
ユニバーサルデザイン包装では、使いやすさと保護性能をどのように両立させるかが重要な課題になります。保護性能との関係については、「耐久性と見た目を両立するパッケージの工夫」も参考になるでしょう。
使いやすい包装から学べること
ユニバーサルデザイン包装を考えることは、利用者視点で包装を見ることにつながります。包装は単なる容器ではなく、商品体験の一部として機能しています。そのため設計では、開封性や視認性だけでなく、持ちやすさや情報伝達など複数の要素を総合的に検討する必要があります。
また、「誰にとって使いやすいのか」という視点を持つことで、新しい設計のヒントが見つかる場合もあります。包装設計全体については、「包装設計で失敗しないためには?判断基準と設計思考の基本を解説」もあわせて読むと理解が深まります。
まとめ
ユニバーサルデザイン包装とは、年齢や身体的な特性にかかわらず、できるだけ多くの人が利用しやすい包装を目指す考え方です。開けやすさだけではなく、持ちやすさや情報の分かりやすさなども重要な要素になります。また、内容物を守る保護性能とのバランスも欠かせません。
次にやるべきことは3つあります。まず、身近な商品の包装を観察し、使いやすいと感じる工夫を探してみましょう。次に、利用者がどのような場面で包装を扱うのかを整理します。最後に、使いやすさと保護性能の両立という視点で包装設計を見直してみてください。利用者視点で包装を見る習慣を持つことで、より良い包装設計のヒントが見えてくるはずです。
